2017年度の社会保険労務士試験に合格しました。
今回は、私が実践した勉強方法をもとに書きたいと思います。
あくまで私のやり方なので人によっては参考にならないかもしれませんが、少しでも社労士試験合格を目指している人の役に立てば幸いです。
合格するための考え方
社労士試験には 通称「足切り」 と呼ばれるものがあります。
詳しくは以下の通り。
●各科目 5点満点中3点以上
<択一式>
●各科目 10点満点中4点以上
正直択一式はあまり問題ではありません。
テキストを読み、過去問を繰り返すという基本通りの勉強すれば、十分合格レベルに達すると思います。
問題は選択式です。
各科目5点中3点以上ということは、全科目60%以上取らなければなりません。
選択式の内容ですが、条文や判例、通達などの文章の途中が空欄になっています。
正解するには、条文などを正確に暗記している必要がある ということです。
20個の語群には似かよった単語も用意されているため、知識が曖昧だと相当迷うことになります。
選択式の中でも恐ろしいのが 労一・社一と呼ばれる一般常識という科目。
労働経済白書、労働統計、厚生労働白書といった、厚生労働省が毎年発表している資料から出題されるのですが、これらの資料は膨大で、全てに目を通していると時間がいくらあっても足りません。
その膨大な資料から出題されるわけですから、解けるかどうか、どうしても運の要素が絡んできます。
一応、社会情勢などを考慮して問題が作られることが多いため、ニュースや新聞を見ておくのが対策になるといわれています。
しかしそれで選択式をクリアできるかと言われれば難しいでしょう。
近年、社一は国民健康保険法、介護保険法などの法律から出題されることもあり多少は楽ですが、労一は白書や統計データから出題されることが殆どで、独学で勉強するのは厳しいと言わざるを得ません。
ではどうするか。
私がやった選択式対策は2つ。
・「月刊社労士V」を定期購読
予備校や「月刊社労士V」については、後記します。
大半の受験生が、選択式の「各科目3点以上」という基準を満たせず不合格になります。
言い換えれば、選択式の足切りこそが、社労士試験を難しくしている要因です。
合格を掴むには、いかに選択式を突破するか?を考える必要があります。
試験日までの残り2ヶ月は選択式対策を重視
選択式対策としてよく言われるのが、択一式対策をしっかりやるというもの。
たしかに本試験や模試の択一式で40点も取れない程度の実力では、選択式も厳しいでしょう。
ただ前回書いた通り、大半の受験生は選択式で落とされます。
ならばある程度実力がついたら、後は選択式対策を重点的にやるべきではないか?
そう考えた私は、試験日までの残り2か月、ほぼ選択式対策だけやりました。
具体的な時間配分の割合を書くと
1・2・3月 | 選択式:択一式=3:7 |
4・5・6月 | 選択式:択一式=5:5 |
7月 | 選択式:択一式=7:3 |
8月 | 選択式:択一式=9:1 |
という感じです。ちなみに初受験者ではありません。
また、その際に使ったテキストや利用した予備校講座は以下の通りです。
・選択式トレーニング問題集(資格の大原)
・暗記カード(TAC)
・社労士V 7月号 白書対策
▼利用した予備校講座▼
・山川靖樹の社労士予備校 白書対策講座
・山川靖樹の社労士予備校 穴埋め式対策講座
・山川靖樹の社労士予備校 改正法マスター講座
選択式トレーニング問題集(資格の大原)
全部で5冊あるのですが、1冊1冊発売日が違うため、発売されるごとに購入し、コツコツとやりました。
最終巻が4月ごろに発売されたと思います。
暗記カード(TAC)
TACの教材で、繰り返しやるほど合格に近づくという噂のある教材。
ただ私の場合、8月に入ってから2~3回やる程度でした。
試験日の前日、ホテルに持っていき寝る前に全科目、目的条文のところを繰り返し解きました。
おかげで本試験の選択式では目的条文を1問も落としませんでした。
コンパクトで持ち運びに便利なのがうれしいですね。
社労士V7月号 白書対策
前回書いた通り、選択式の鬼門は労一。
近年は白書や統計など膨大な資料から出題されるため、独学では厳しいと思います。
この「社労士V 白書対策」は、白書や統計の中でも出題可能性が高いところだけピックアップして掲載されています。
7月以降は、ただひたすら読み込みました。
山川靖樹の社労士予備校 白書対策講座
労働経済の動向、統計データ、労働経済白書、厚生労働白書などの対策講座。
これらの資料から出題される可能性の高いところをピックアップし、テキストに載せています。
そのテキストの中でもより重要な部分を山川先生が解説。
また巻末には練習問題が載っています。
はっきりいって平成29年度(2017年度)の試験、鬼門と言われる選択式労一で満点が取れたのはこの講座のお陰です。
山川先生が重要だから読んでおけと言ったところ、練習問題の解答にのっていたところ、そこがドンピシャリで出題されたのです。
もちろん予想が的中していたからといって、選択式労一の全問題を余裕で正解できたわけではありません。
本試験中2問ほどは、かなり迷って「たしかこれだったよなあ」という感じでマークしました。
結果的にそれが正解で満点だったわけですが、外れていても3点は確保できていたでしょう。
あと労一・社一は択一式もかなり難しく、それらの対策にもなりました。
山川靖樹の社労士予備校 穴埋め式対策講座
この講座では、主に選択式に対する心構えや、各科目の出題傾向、そしてどのように勉強すればよいかを教わりました。
特に出題傾向が分かったのは大きく、その後の選択式対策に生かすことができました。
山川靖樹の社労士予備校 改正法マスター講座
選択式・択一式ともに法改正された箇所は狙われやすいです。
本試験では選択式よりも択一式で役に立ちました。
個人的には、
・山川靖樹の社労士予備校 白書対策講座
の2つが、選択式対策としては最も効果があったと思います。
とくに「山川靖樹の社労士予備校 白書対策講座」は山川先生が出題箇所を予想されるのですが、本試験では、その予想個所と巻末の練習問題から出題され、こんなに的中するのかと感心しました。
実は以前、別の予備校の白書対策講座も受けたことがありましたが、選択式労一で3点以上確保できませんでした。
別の予備校の講座を受けた平成27年、平成28年の合格率は、2.6%、4.4%と恐ろしいほど低く、選択式労一がかなりの難関だったということもあります。(実際、過去10年以上救済されていなかった労一が、平成27年、28年と2年連続で救済)
また単純に山川社労士予備校の講座が私に合っていて、別の予備校の講座は合っていなかったということもある思います。
大事なことは自分に合った勉強方法をみつけること。教材や予備校などは、いくつか比較検討し、自分に合ったものを選んでください。
問題集で間違った箇所を紙に書き出す
問題集を何周もしていると、何度も間違う箇所があると思います。
その箇所を紙に書き出すことで、自分の弱点が明確になります(PCのメモ帳などに入力しても構いません)。
そうやってできた「弱点の一覧表」は、自分が理解・記憶できていない箇所です。
社労士試験は足切があるため、広大な範囲を満遍なく勉強する必要があります。
オリジナルテキストを作成する
上記で書いた「弱点の一覧表」をもとに、オリジナルのテキストを作成しました。
作り方は、講義系テキストの中から自分が理解・記憶できていない箇所の解説を紙に書き出すだけです。
例えば私の場合、
・各法律の主な届出の期限・届け出先を一覧表にする
・労働安全衛生法の安全・衛生管理者などの規模要件、資格要件を一覧表にする
・雇用保険法で「最長4年」となる期間をまとめる
といった具合です。
講義系テキストはページ数も大量で持ち運ぶのは大変です。
しかしオリジナルテキストなら大したページ数でなく、苦手な箇所の解説をピンポイントで読み込めるので作ることをおすすめします。
合格体験記
私は社労士試験に7回目で合格しました。
ただ今思えば、1、2回で合格できていたと思います。
1回目2回目は、はっきりいってまともに勉強していませんでした。なので落ちて当然だと思います。
3回目は有名な法律系の予備校LECで社労士講座を受けましたが、そのときも本気ではありませんでした。
というのも社労士試験を受ける前に行政書士試験に合格していたのですが、そのとき大手予備校を使いました。
その成功体験もあり、資格試験は大手予備校さえ使えば合格できるという誤った思い込みがあったのです。
当然ですが、大手予備校を利用したからと言って合格できるわけではありません。
講師の話をしっかり聞き、何度も何度も練習問題を繰り返し、皆が遊んでいるときも勉強し続けることでようやく合格を勝ち取ることができるのです。
そんな当たり前のことすら気づかず1年を無駄にしてしまいました。
4回目からは心を入れ替え、勉強時間も大幅に増やし、テキストを読み、問題集を何周もしました。
おかげで本番では初めて択一式で合格基準点を突破。しかし選択式の社一で1点足りずに不合格。
原因は、今年の厚生労働白書からの出題だったのですが、お金をケチって去年のLECの教材を使っていたため回答できなかったのです。
ちゃんと今年の教材を使っていれば合格できていました。
5回目は選択式労一で1点足りずに不合格。
過去最低の合格率だった年で十数年ぶりに選択式労一が救済されました。正直運も悪かったと思います。
6回目は選択式雇用で1点足りずに不合格。
目的条文を落としました。選択式での目的条文はチャンス問題ともいえるもので、確実に正答しなければならない問題です。
7回目でついに合格。
具体的な勉強方法は上で書いた通りです。
どうすれば効率よく合格できるか、7回もの受験により出した私の結論は次の3つ。
・テキストや問題集は売れているもの・評判の良いものを使う
・選択式をいかに突破するかを考える
予備校を利用する
どこの予備校の社労士講座も20万~30万掛かることが多く、金銭的に負担が大きいのは事実。
私が利用した山川社労士予備校ですら講義が無料公開されているものの、基本テキストと改正法・選択式・白書対策講座全て合わせて5万円ほど掛かりました。
(※2018年で山川靖樹の社労士予備校の無料講義は廃止されました。)
ですが予備校には合格するための情報が揃っています。
短期間での合格を目指すのであれば利用した方が良いと思います。
テキストや問題集は売れているもの・評判の良いものを使う
売れているものやネットでの評判が良いものは、クオリティが高いことが多いです。
ただ買うなら中身を確認してからにしましょう。
私は市販されている大手予備校の問題集を買ったとき、解答の解説の薄さにガッカリした思い出があります。
選択式をいかに突破するかを考える
多くの受験生は選択式の足切りで落とされます。
選択式は勉強しても成果が上がりにくく、初学者と既学者との差があまりつきません。
しかしそれでも選択式のポイントというものは存在し、それを理解することが大切です。
あとは勉強時間をしっかり確保し、1000時間ほどを目標に勉強することです。
もっと早くこれらの結論に到達できていれば、前記の通り1、2回で合格できていたと思います。
しかし7回も受験したからこそ到達できたと言えるかもしれません。
この結論が絶対的に正しいわけではないでしょうが、少しでも社労士試験の合格のための参考になればと思い書きました。
1人でも多くの人が、社労士試験に合格できることを祈っております。
合格後の事務指定講習について
大抵の人が合格後に受けることになる事務指定講習。
事務指定講習は通信指導過程と面接指導過程という2つからなります。
この2つの指導過程の内容について私の体験談を書きたいと思います。
通信指導過程では、実際に社労士が携わる各種届出や申請などの手続書類を作成します。
「課題書」に記載されている事例について作成しますが、「様式集」に載っている記入例を参考にすれば作成できると思います。
「様式集」を見ても分からない場合はネットで検索するとよいでしょう。様々なサイトに記入例が載っています。
白紙だったり殆ど記入が無い場合は再提出の可能性があるので、万が一を考えて提出期限ギリギリにならないようにしましょう。
面接指導過程は、7月~9月に大きめの会場で4日間行われます。
基本的には現役の社労士の先生の話を聞くだけで、途中で何か質問されたり、書類を提出したりということはありませんでした。
服装は特に指定はなく、受講者の服装もスーツ、カジュアルなもの、ジャージなどまちまちでした。
会場全体にリラックスした雰囲気が漂っており、休憩時間には仲良くなっている人達もいました。
注意してほしいのは、1日に2科目の講習を受けるのですが、1科目でも欠席した場合は修了証が交付されないということ。
また遅刻したり早退したりした場合も修了証が交付されない場合があります。
会場が遠い方は、万全を期して近くのホテルなどを取った方が良いでしょう。